一般的に病院での療養に比べて、在宅で療養を行う方が患者さんにとってQOLが高いと感じることでしょう。
制限の多い入院生活とは違い、在宅での訪問看護では1回の訪問で患者さんに30分程度対応できます。
コミュニケーションを取る時間を多く確保でき、さらなるQOL向上を図ることも可能です。
では、実際の看護の現場でQOLをどのように向上させることが可能なのか、どのような点で努力していけばよいのかについて見ていきましょう。
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QOLの意味を考えよう
QOLとは(Quality Of Life)の略で、日本語では生活の質などと訳されています。
この生活の質を求めることは、社会的な人間として健康的な生活を送る上で欠かせないものです。
生活の質とはさまざまな面から人それぞれの生活を捉えて考えることが必要です。
例えば、下記のようなことを見ていくことで生活の質について考慮することも可能でしょう。
・身体的に満足な活動が行えるか?
・日常作業に精神的満足感があるか?
・経済的な満足度はどうか?
・周囲の人間関係に満足できているか?
・精神的な安らぎや充実感があるか?
・他者に関心を持てる余裕があるか?
ただ、これは主観的なものなので、周囲が満足度や質の高さを推し量ることは難しく、何を幸せとするか、どの程度で満足と感じるかは個人によって差があるため、ケアを考えるときにはその差を考慮する必要があります。
肉体的、精神的に落ち込んでいる状態を回復させたい、前向きに過ごしたいという想いは同じであっても、人それぞれアプローチの方法は異なるものです。
自分が考える方法だけでなく、相手の立場を考慮しながら柔軟な対応が求められるということでしょう。
そのためには質とは何かということを、QOLを他者が考慮するときにはしっかりと定義しておくことも重要になります。
QOL とADLの違いを考える
QOLと似た用語にADL(Activity of Daily Life)とがあります。
これは日常生活を送るために必要な基本的な動作を意味する言葉で、具体的には食事、更衣、排泄、入浴、身だしなみ、移動などを指します。
1980年頃までの医療や介護では、リハビリテーションによるADLの自立や向上が基本的な考え方でした。
しかし1980年以降ではQOLを求める方向へと変化しています。
つまり、ADLの向上が達成できれば満足度も補われるということではなく、個人のQOLとは何かを求めることをメインに考えるように移り変わってきたということです。
例えば、外出するときに歩くことが困難な人が、電動車椅子を利用すれば外出することができるなら、QOLは向上すると言えるでしょう。
・ADLの向上が図られていても本人のしたいことができていない状態であるならQOLは低いまま。
・ADLが低い状態であっても本人が満足のいく生活ができているならQOLは高いと言える。
このように、QOLを向上させることとADLの向上には相関関係が成立しないことを考慮しなければならないということになります。
ただ、日常生活の動作ができることで充実感や満足感を生みだすのも事実で、そういった意味ではQOLを左右する要素のひとつと言えるでしょう。
QOLを向上させる方法とは
人は誰でも自分らしく充実した生活を送りたいと考えていることでしょう。
医療サービスを提供する場合でも、治療することや回復することだけでなく、患者さんにとっての満足度や幸福度について考慮することが重要視されてきています。
患者さんの満足度や幸福度を考慮する、QOLの向上を目指すにはコミュニケーションが欠かせません。
ここでいうコミュニケーションとは、言語的なコミュニケーション以外の人間関係や環境といった非言語的なコミュニケーションも含まれます。
患者さんの話に耳を傾ける
話を聴くことによって、患者さんが感じている不安を知り、患者さんの持つ価値観を知ることに繋がります。
患者さんが自分でもできる環境を整える
患者さんが何かできない場合、代わりにやってあげてしまうことがよくあります。
ただ、それは必ずしも患者さんのQOLを重視した看護ケアにはなっていると言えない場合もあるのです。
ADLはQOLの重要な要素で、リハビリの概念を取り入れた看護ケアということに繋がります。
まずは、トライしてみるという環境を作ってあげること、手伝う程度の介助を行っていくことが大切です。
患者さんの価値観を知っておく
QOLの向上にとって大事なのは、患者さんの価値観を知ること。
どのようなことに生きがいや幸福感、満足感が得られるかといったことは、患者さん自身の価値観の中でしか判断できません。
患者さんと妥協点を探りながら看護ケアを行っていくケースはよくあり、そんな時に役立つはずです。
自分では相手を思ってしたことが、価値観の押し付けに繋がってしまう恐れもあり、自分の価値観で判断しないように気を付けましょう。
価値観は人それぞれあるもの、ひとまず患者さんが望むことを知る努力をしていくことが大切です。
患者さんの価値観を知るためのポイントとしては、患者さんの人生背景を理解すること。
どのような環境を歩んできたか、どんな経験や考え方を大事にしているかを知ることは、価値観を知ること、QOL向上の参考になるはずです。
訪問看護だからこそのQOLとは
QOLをどのように向上させることができるのか、そのためにはどのような点を努力していけばよいのかなど、訪問看護の現場で役立つに考え方について見てきました。
QOLの質は主観的なものなので、周囲が満足度や質の高さを推し量ることは難しいこと、満足を感じる程度については個人によって差があることを考慮してケアをしていく必要があります。
またADLの向上とQOLの向上には、必ずしも相関関係が成立すると言えないことを理解しなければなりません。
ただ、日常生活の動作ができることが充実感や満足感を生みだすのも事実で、QOLを左右する要素のひとつと言えるでしょう。
そして、QOLを向上させるには、患者さんが何を必要としているかの把握が欠かせません。
患者さんの声に耳を傾け、何が満足なのか、何を幸福と感じるかコミュニケーションを図ることが一番の近道でしょう。
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